ロシアはもといソビエトの作曲家「ドミートリ・ショスタコーヴィチ」の、
交響曲第5番について語ってしまおうと云う訳です。
タコさんの音楽と出合ったのは、いつだっただろうか、それさえも分からず。
だけど、第5番と出合った時の感動は今でも覚えている。
第5番のおかげで、バーンスタインやムラヴィンスキーを知る事も出来た。
それからと云うもの、私は第5番のCDを馬鹿みたいに買いあさった。
その中から、ムラヴィンスキー指揮のものと、バンスタ指揮のものをレビュー。
まずはムラヴィンスキーの録音を年代順に紹介。採点基準は★7つで満点。
ムラヴィンスキー指揮 レニングラード・フィル演奏・1965年11月24日 ライブ録音
Amazon.co.jpへのリンクはこちら★★★★★★☆名演と名高いので欲しいな欲しいなと思って探していたが見つからず、
ドリーフライフなるレーベルから出ていると云う事で探してみたら即発見。
聴いてみたところ、その名声に負けない名演であった。
第1楽章冒頭から、緊張感漂う完璧なアンサンブルを効かせている。
その集中力は第3楽章で爆発する。
一切の隙を見せず、ここまでずっしりと、しかし過敏に演奏するこの構え。
第4楽章もまたしかり。
少々ローテンポ気味な始まり方だが、決して軽くならず、ずっしりと構えている。
録音のせいだろうか、金管が面白い鳴り方をしている。
ムラヴィンスキーこそ、ショスタコ音楽最大の解釈者なのだろう。
それを感じれる演奏である。
・1973年5月26日 ライブ録音
Amazon.co.jpへのリンクはこちら★★★★★★★ムラヴィンスキー来日公演での演奏をNHKが最上の録音で遺してくれたのを、
満を持して遂にAltusレーベルから発売されたのである。
と云う解説は置いといて演奏は、
第1楽章の、Allegro Non Troppoで奏される赤軍マーチの部分。
何がどうしたらこんな演奏ができるのか?テンポもそうだが、打楽器の猛攻が凄すぎる。
第2楽章も打楽器が大変な事になっているが、逆に、
第3楽章は、あまり鳴らし過ぎず、おとなし過ぎずを貫いている。
それがまた冷酷なまでに、ソビエトの体制に苦しむ人々を表現している。
そして第4楽章!待ってました!(マテ
ムラヴィンスキーにしてはあまり鳴らしていない印象ではあるが、
それ以上にアンサンブルの隙が無い事に圧巻。最後はもう涙々の大演奏。
日本人の悪い癖で、曲が終った瞬間拍手したりブラボーしたりするのが許せん。
しかしこの演奏、ショスタコ初心者(私もだが)には少々物足りないかもしれない。
だが、それ以上に全盛期の鋭い表現をこの音質で聴けるというのは感動である。
・1982年11月18日 ライブ録音
Amazon.co.jpへのリンクはこちら★★★★★☆☆一気に年代は飛んで、晩年の演奏の一つを紹介。
全盛期には見られないほどの、快速なテンポ。
迫力や、熱気は伝わってくるのだが、
早すぎて落ち着きの無い印象に繋がっている感じがする。
第4楽章のみを例に取って聴いても、
アンサンブルがガタガタになっている部分が多々ある。
テンポもテンポだが、ムラヴィンスキーらしい表現が少々損なわれている。
この演奏を好く人が多いのは事実だが、どうも私はロー気味の方が好きだ。
やはりこの曲は、遅すぎてもよくないが、速すぎもダメなのである。
・1983年月日不明 ライブ録音
Amazon.co.jpへのリンクはこちら★★★★★☆☆知られざる名演の一つ。
音質は、良いような悪いような中途半端な出来だが、演奏は違う。でもピッチ高いなー。
第4楽章は、それこそ'82盤よりも早いが、アンサンブルがきっちりしている。
落ち着きはあるのだが、所々であせった感じになっている。
どうも晩年は、全盛期のような落ち着きと冷静さが薄くなっている。
最後の最後、ティンパニが少々早めに演奏しているのが不思議。
知られざる名演と云うより、知られざる奇演とでも云うか。
・1984年4月4日 ライブ録音
Amazon.co.jpへのリンクはこちら★★★★★★☆ムラヴィンスキー、最後の第5番。
最上の録音なのだが、いかんせん演奏が微妙。
ではなぜ★6つなのか?簡単なこと、第4楽章がもう涙々だからだよ!
わけ分からん事を云ったが、いかんせん全体のアンサンブルは微妙。
しかし、第1楽章の赤軍マーチは、ローテンポ気味なのだが結構良い。
第3楽章はシロフォンが消えそうになって少々不満。
だが第4楽章は素晴らしく。
冒頭のテンポは早いのだがそれ以上にしっかりと鳴らしているのは見事。
トランペットのソロも決まっている。
だが残念な事に、最後のほうでTpがミスしている。(Tpじゃないかも?)
曲の解釈は素晴らしいのだが、それをちゃんと音に出来ていない部分が多い。
完璧を求めた鬼才・ムラヴィンスキー。だが彼は最後の最後に完璧を生み出せなかった。
バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィル演奏・1959年10月20日 スタジオ録音
Amazon.co.jpへのリンクはこちら★★★★★☆☆衝撃の演奏と云うか、笑撃の演奏と云うか。アンサンブルに隙が無さ過ぎて怖い。
だがそれ以上に、西側らしさ満載と云うか、強烈な匂い漂う演奏。
しかし、'59年の演奏なのに、ここまで音質が良いとは。
さすが米帝。第1楽章の赤軍マーチはバンスタなら速いんじゃ無いかと思ったが、どっしりしている。
第2楽章では各楽器の音色をくっきりはっきりと鳴らせているのは見事。
ムラヴィンスキーが描く第3楽章。それは独裁と云う名の足枷を描いているようだ。
だがどうだろう、バーンスタインが描く第3楽章。
それは、自由とは戒めがあるこそ自由なのであると語っているかのようだ。
まぁそんな抽象的な表現は置いといて(ちなみにバンスタのリハは抽象的です)、
ムラヴィンとバンスタは、第3楽章では実に対照的な解釈をしている。
それはやはり、西側と東側の違いなのでしょうな。
そして第4楽章。機械のように正確な演奏に驚く事間違いなし。
録音のせいだろうか、実にビシビシした感じである。
コーダなどもうとんでもない事になっている。
もうなんだこれ映画音楽かよって思っちゃうほどのテンポと金管。
なんとも能天気と云うか、楽天的と云うか、だけどバンスタはそこがいい!
・1979年 ライブ録音
Amazon.co.jpへのリンクはこちら★★★★★★☆来日コンサートの録音。
と書いたものの、実際はハープがマイクにぶつかり位置がおかしくなったので、
後日録音しなおしたのでライブ一発ではないが、豊かな表現は変わっていない。
ちなみに、ニコニコ動画等々でこの時のライブ映像が公開されています。
しかし'59年のものに比べると、幾分テンポが落とされているためか、
こちらを低く評価するものは少なくないが、温かさはこちらのほうがあるだろう。
第1楽章はローテンポなのだが、それがムラヴィンスキーと違った良さを出している。
第2楽章はバーンスタインと云う人の人間性が現れているかのように(以下略)
第3楽章など、模範的演奏の一つだろう。
'59年のものとはまた違い、語りながらも、問うようなそんな演奏。
第4楽章もまた素晴らしい出来栄え。
間延びする部分が多々ありながらも、それを味に変えている。
型に捉われない演奏と云うか、アメリカらしいと云うか。
しかしバーンスタインはタコさんの5番をよくここまで自分色に出来たものだ。
てなもんでレビュー終わり。
いい加減な部分も多々あるけど、少しでも参考になれば幸いですわ。
余談だけど、
第4楽章は「強制された歓喜」だと云う間違った解釈が主流になりつつある。
主流と云ったが、そう考えてる人が多いと云う事だね。
第5番はタコさんの自伝的交響曲である。
当局の弾圧を受けて苦しんでいたタコさんは起死回生の一発でこれを書いた。
そして成功を勝ち得た。
第4楽章はまさに、苦しみ抜いたはての勝利である。
しかし、コーダでVnは同じ音を繰り返し繰り返し奏すのはどう云う事だろう?
考えてみたら答えは意外と簡単だった。
自由とは、勝利とは、犠牲があるから成り立つのだと、厨二病臭く云ったが、
苦しみを乗り越えたからこそ勝利なのである。
だからこそ、勝利のフィナーレの後ろには今までの苦しみが映し出される。
タコさんがどう云う思いで、どう云う考えでこの曲を書いたか分からない。
だけど私は、この交響曲は苦しみぬいたはての勝利を描いていると信じている。
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